Archive

Archive for the ‘医療’ Category

ストーマを人工肛門と称するけど、それでいいの?

中井美穂さんの人工肛門告白に関する記事がネットやツイッターに上がるたびに、このブログのストーマカテゴリーの記事のアクセス数が一時的に跳ね上がります。
多いときで、1日に6,000 PVを超えたこともありました。

「人工肛門」という言葉に何か惹かれるものがあるのでしょうか?
想像できないから検索しただけなのでしょうか?

それで、「Stoma(ストーマ、ストマ)のことを『人工肛門』と言うけれど、その呼び方にKenUは疑問を感じている」ということを記事にしたいと思います。

*

まず、「ストーマ」の語源 (etymology) を調べてみました。

「ギリシャ語で”口”の意味」だそうです。
出典1:ブーケ若い女性オストメイトの会、ストーマ用語集(←参照リンク)
出典2:ONLINE ETYMOLOGY DICTIONARY[オンライン語源辞書](←参照リンク)

一方、
「ラテン語で”乳頭状に突き出した口”の意味」と説明しているところもあります。
出典1:全日本民医連(←参照リンク)
出典2:ヘルスプレス(←参照リンク)

でも、ラテン語で乳頭状は「papillosus」です。
また、解剖学では小さな乳頭状の突起または隆起やそのような構造を持つものの総称を「papillary」といいます。

ところで、映画『ローマの休日』で、グレゴリー・ペックがオードリー・ヘプバーンを驚かすために、手を入れて抜けなくなったふりをするシーンでも有名な「真実の口」というのがあります。
この「真実の口」をギリシャ語で、στόμα τῆς ἀλήθειας (ストマ テースアレーテエイアース)といいます。
出典:ギリシャの光(←参照リンク)

なので、「Stoma」の語源は、ギリシャ語の「口」のほうが正しいのではないかと思います。

ということで、Stomaを日本語で人工肛門と訳すには、無理があるのではないか?と考えます。

*

さて、ストマですが、決して「肛門」なんかではありません。
ただの、腹部から突出した腸です。

人体機能として、直腸に便を溜めて、意思に関係なく肛門で留め、そして、うんこがしたくなったら、自分の意思で肛門を開放してトイレに便を排出します。

この機能を果たすのが、まさにストーマ装具のパウチです。
いつの間にか、便が溜まっていて、そして、都合の良いときに、自分の意思で便をトイレに排出します。
だから、正確には「パウチ」が「人工直腸&人工肛門」なのです。

*

なぜ、KenUがこのようなことを主張するのか・・・

「永久気管孔」は「人工鼻」と言わず、そこに装着する、鼻の代わりになる機能がある装具を「人工鼻」といいます。
「人工心臓」は、心臓の代わりになって血液を循環させる機能があります。
「人工腎臓」は、腎臓の代わりになって血液をろ過してくれる機能があります。
さらに、
「人工心肺装置(じんこうしんぱいそうち)」は、心臓外科における手術などの際、一時的に心臓と肺の機能代行する医療機器である(引用:ウィキペディア フリー百科事典)。

はい、もうおわかりでね。
代わりにもならないし、機能もないのに、人工肛門とはこれいかに?(笑

人工肛門というよび方は、「まわりの人達に誤解を与えていないか?」「悪いイメージを与えていないか?」ということです。

逆に、人体機能を代用している「義手・義足」を「人工手足」と言わない例外もあり、こちらは呼称に何か配慮があるのかな?と感じました。

だから、もしかしたら「人工肛門」は差別用語である可能性があるのではないか?と考えます。

*

いまさら人工肛門という呼称を変えることに賛否両論あるとは思いますが、KenUは変えてもよいのではないか?と思っています。
「絶対変えるべき」とか、「変えねばならない」とか、「変わるまで断固戦うぞっ!!」という程の強い意思ではなくて、ちょっとした提案くらいの貧弱な意思です(笑。

何も鋼の錬金術師の「オートメイル」みたいなかっこいい用語を考えて変えようってわけじゃぁなくて、意味が的確な日本語名称でよいのだけれどなぁ~。

まあ、「人工肛門って、分かりやすくていいじゃん!!」と思っている方々もたくさんいらっしゃるでしょうけど・・・

KenUと違い、社会的影響力のある中井美穂さんに、是非とも、ご意見を伺いたいと思います。

FULLMETAL ALCHEMIST COMPLETE BEST 鋼の錬金術師CD and DVD

カテゴリー:ストーマ, stoma, 医療

ストマ(人工肛門)になったら年金事務所へ障害年金の受給相談に行ってみよう!

さて、KenUは、直腸癌で永久人工肛門(ストーマ)になって、あと少しで3年になります。
そして、今頃ですが、障害年金の受給申請をしました。

ということで、申請までの流れ、必要なものなどをザザッと記事にしたいと思います。

ちなみに、あくまでもKenUのケースと言うことであって、当てはまらない方もいるでしょうから、参考として受け止めてください。

*

KenUの身体障害者手帳の障害名は「下行・S状結腸ストマ造設による直腸機能障害」で、身体障害等級「4級」です。
でも、障害年金受給資格は、手帳の等級とは別で、人工肛門の場合は障害等級「3級」です。

また、国民年金保険料を納めている方の「障害基礎年金」と厚生年金保険料を納めている方の「障害厚生年金」がありますが、KenUは「障害厚生年金」です。

さらに、請求時期には、「障害認定日による請求」と「事後重症による請求」がありますが、KenUは「障害認定日による請求」です。

いろいろと紛らわしいですよね。

そして、『国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(平成28年6月1日改正)』 という文書があり、認定要領の記載があります。

引用すると・・・
————
第3 障害認定に当たっての基準
第1章 障害等級認定基準
第18節/その他の疾患による障害
2 認定要領
(3) 人工肛門、新膀胱
ア 人工肛門又は新膀胱を造設したもの若しくは尿路変更術を施したものは、3級と認定する。
イ 障害の程度を認定する時期は、次により取り扱う。
人工肛門を造設し又は尿路変更術を施した場合はそれらを行った日から起算して6月を経過した日(初診日から起算して1年6か月を超える場合を除く。)とし・・・以下省略。
————
となっています。

*

じつは、KenUが障害年金をもらえる可能性があることを知ったのは、最近なんです。

ということで、実際に受給資格が「ある」・「ない」等は色々な要件があって分かりにくいし、手続きなどは直接聞かないとわからないので、年金事務所に出向いて「年金相談」をしてきました。

全国の最寄りの年金事務所はこちら(参照リンク→日本年金機構 全国の相談・手続き窓口)から検索できます。

最初の年金相談をするのに、まず必要なのものは、”基礎年金番号” と “身分を証明できるもの” です。

基礎年金番号さえわかればOKなので、年金手帳の持参は必要なかったです。
身分を証明できるものについては、顔写真付きのものが良く、KenUは運転免許証、障害者手帳、マイナンバーカードの3つを持っていきましたが(笑)、どれか一つあればOKです。
はっきり言えば、障害内容を説明したり、コピーを取られるので、障害者手帳がベターだと思います。

以下、申請までの流れを書いていきます。

*

[1/20(金) 年金相談一回目]
初回相談では、まずは ”初診日の確定が必要” ということでした。

初診日とは「障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師の診療を受けた日」です。

自分では忘れてしまっていても、年金相談でどこが初診の病院に該当するかを教えてもらい、その病院の診療記録で分かるので問題ないです。

KenUの場合は、「直腸がんが見つかったクリニックで、初診日を確定するための『受診状況等証明書(←参照リンクPDFファイル)』を書いてもらってきてください。」というところで、年金相談はいったん終了しました。

その日のうちに、初診の病院に行って「受診状況等証明書」の作成をお願いしてきました。

*

[1/30(月) 年金相談二回目]
1週間で「受診状況等証明書」を書いてもらえたので、二回目の年金相談です。

受診状況等証明書

初診日は平成25年7月30日。

障害認定日をそこから1年半後とすると2015年1月30日です。
でも、2014年5月23日に人工肛門を造設する手術を受けたので、そこから起算して6月を経過した日とすると2014年11月23日になります。
で、後者を障害認定日として請求ができ、その日まで遡って受給できるんだそうです。

そして今度は、障害認定日を確定するために ”現症の診断書が必要” ということでした。

KenUは初診のクリニックから別の病院に移って手術を受けたので、「人工肛門を造設した病院で、あらためて診察を受けてから、『診断書(←参照リンクPDFファイル 様式第120号の7)』を書いてもらって、3か月以内に障害年金請求をしてください。」というところで年金相談は終了しました。

KenUの場合は、時間が経過しているので、”現症”が求められ、ちょうど2月9日が定期の外科外来受診の予定日だったので、グッドタイミングでした。
2/9に、手術をしてくださったドクターにお願いしてきました。

*

[2/28(火) 年金相談三回目]
「診断書」が2/17に届いたので、その他の必要書類をそろえて、いよいよ障害年金の請求です。
でも65歳になったときに、まだ生きていれば老齢年金受給に切り替えるつもりです。

KenUの直腸癌の診断書

提出した書類等は次のとおりです。

1・年金請求書(国民年金・厚生年金保険障害給付) ※様式第104号を年金事務所でもらって、自分で記入します。

2・年金手帳(KenUのと妻のと両方) ※コピーが取られます。

3・KenU名義の預金通帳(年金の振込先になる金融機関の) ※コピーが取られます。

4・KenUの認め印 ※銀行お届け印でなくてもよいです。

5・妻の過去3年分の所得証明書

6・戸籍謄本

7・住民票(世帯全員分。つまり、KenUと妻と娘の分)

8・診断書(手術した病院で作成したもの)

9・受診状況等証明書(初診の病院で作成したもの)

10・病歴・就労状況等申立書 ※様式を年金事務所でもらって、診断書などを見ながら自分で記入します。

11・身体障害者手帳 ※コピーが取られます。

病歴・就労状況等申立書

自分で記入・作成した書類については、年金事務所の担当の方に必要事項の記入漏れや記入内容を確認してもらえるので、記入の仕方がよくわからなくて空欄にしていた箇所があっても問題ないです。
必要であれば、その場で追記や訂正をしながら書類を完成させて、確認の署名なども行い、提出して申請は終了です。

なお、上記書類のうち、8, 9, 10は自分でコピーを取って保管しておくとよいです。
KenUは、自宅の複合機プリンターでコピーしました。
コンビニでコピーされる方は、原本の置き忘れや紛失にご注意ください。

*

「年金請求書の審査結果については、受付日から3か月半以内にお知らせするように努めております。」
「はじめての支払いが行われるまでには、年金が決定され「年金証書・年金決定通知書」がお手元に届いてから、おおむね50日かかります。」
とのことです。

ということで、6月中旬に結果がわかるので、その後にこの記事を更新したいと思います。

************** 関連記事 **************

KenUの直腸癌切除術と入院中の備忘録

身体障害者手帳と映画鑑賞・・・どうして割り引いてくれるの?

***********************************

カテゴリー:ストーマ, stoma, 医療

大腸がん検診の免疫学的便潜血検査って何?

KenUは、毎年健康診断で便潜血検査を受けていましたが、ずっと陰性(異常なし)でした。
しかし、痔の手術中に、医師によって目視で直腸がんが発見されました。
大腸カメラではなく、肉眼で、です(笑

ということで、「簡便に精度よく、確実に早期の大腸がんを発見できる検査方法があればいいのにな」と思い、便潜血検査方法とそのメカニズムについて記事にしたいと思います。

一応、中学生でも理解できるくらいのつもりで、なるべく専門的な用語には説明を加えながら、できるだけ簡単に書いてみます。

*

便潜血検査とは、読んで字の如く、「便」の中に「潜」んでいる「血液」があるかどうかを「検査」します。

もしも大腸に「がん」とか「ポリープ」ができていると、それらから出血する場合があり、うんちに血が付きます。
なので、うんちに血がついているかどうか調べることによって、大腸にがんやポリープが出来ている可能性を探ろう、というわけです。

でも、がんやポリープがあっても出血しなければ、結果は「陰性(セーフ)」になるし、結果が「陽性(アウト)」でも、必ずしも大腸にがんやポリープができているとは限らない、という微妙な検査です。

痔で肛門から出血があれば、うんちに血が付くので、がんでなくても結果は陽性になります。

*

血液があるかどうかは、血液の中にある「ヘモグロビン(Hb)」というタンパク質を「免疫学的」に検出して調べます。

免疫学的というのは、「抗原抗体反応」のことで、検査は、その原理を応用した検査薬を使用します。

検査薬は、人間のヘモグロビンとだけ反応する抗体が使われるので、動物(牛、鶏、魚など)の血液に由来するヘモグロビンには反応しません。
このことを「特異性」といいます。
つまり、検査前の食事にすっぽんの血を飲もうが、血のしたたるような牛レアステーキを食べようが、焼き鳥レバーを食べようが、検査結果には影響しません。

*

検査薬の一番重要な原料である、人間のヘモグロビンとだけ反応する抗体は、どのようにしてつくるのでしょうか?

抗体には、大きく二つ、「モノクローナル抗体」と「ポリクローナル抗体」があります。

ポリクローナル抗体は、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどの動物にY字型をしたIgG(アイジージー、免疫グロブリンG)という抗体を作ってもらいます。

IgG分子出典:ウィキペディアフリー百科事典

例えば、「精製したヒトヘモグロビン」と免疫応答を増強させる「アジュバント」という物質の混合物をひつじさんに注射します。

ひつじの免疫

ひつじの免疫

ひつじさんにとって人間のヘモグロビンは異物ですから、免疫が働いて抗体をつくります。

飼育しながら、抗体価が上昇するまで何度か注射(追加免疫)をすると、ひつじさんの血液中にIgGができます。

ひつじさんから血液を採取して、アフィニティークロマトグラフィーという方法でIgGを精製します。

このようにして作ったIgGは、「人間(ヒト)」の「ヘモグロビン(Hb)」に「抗う(あがらう・立ち向かう)」抗体なので、「抗ヒトHb抗体」といいます。

*

免疫学的便潜血検査薬の検査方法には、「ラテックス凝集法」と「免疫クロマトグラフィー法(イムノクロマト法)」があります。

まずはじめに、ラテックス凝集法での便潜血検査について解説します。

*

ラテックスとは水中にポリマーの微粒子が安定に分散したエマルション(乳液)のことをいいます。
牛乳もエマルションの一つです。

ラテックス凝集法では、ソープフリー乳化重合という方法でスチレンモノマーとスチレンスルホン酸ナトリウムとアクリル酸モノマーを共重合させて作ったポリマー粒子に、抗体をくっつけたエマルションを使います。

粒子は、「単分散」という粒の大きさがそろっているもので、粒の大きさはナノサイズ(100~200ナノメートル)です。

共重合したスチレンスルホン酸のSO3-が、粒子同士を反発させて凝集するのを防いで、安定に分散させる役割をします。
アクリル酸のCOO-には、水溶性カルボジイミド(WSC)という試薬を使って、抗体を下図のようにくっつけます。

抗体固定化ラテックス粒子

ポリスチレン粒子への抗体固定化

これを、「抗体固定化ラテックス」といいます。

*

さて、便潜血の検査では、排便直後の新鮮なうんちを「採便棒」にこすり取って、「便溶解液」という液体が入った「採便容器」の中に差し込み、うんちを溶かします。

採便容器

便潜血検査用の便の採取と溶解

便溶解液は、ヘモグロビンが壊れにくい緩衝液でできています。
また、便をたくさん採れば正しい検査ができるというわけではないので、採便棒には溝(みぞ)があり、擦切られて溝に残った一定量の便だけが採便容器の中に入る構造になっています。

このようにして採取した便を検査機関に提出します。

*

検査機関では、自動検査装置で便中のヘモグロビンが測定されます。

仕組みは簡単。

「便溶解液」と「抗体固定化ラテックス」が混合され、便溶解液にヒトヘモグロビンが含まれていると(下図A)、「ラッテックス」に固定化された抗体がヒトヘモグロビンに結合して、粒子が「凝集」します(下図B)。

ヒトHb抗体固定化ラテックスとヘモグロビン

図A

ヘモグロビンによるヒトHb抗体固定化ラテックスの凝集

図B

粒子が凝集せずによく分散しているときは、光がよく散乱して光の透過量が少なくなるのに対して、粒子が凝集すると光の散乱が減少して光の透過量が多くなるので、光学的に便中のヘモグロビンの量を測定することができます。

というわけで、このようなメカニズムの検査法を「ラテックス凝集法」といいます。

*

つぎに、イムノクロマト法での便潜血検査について解説します。

測定原理は、市販されている「妊娠検査薬」や「インフルエンザ検査薬」と基本的には同じです。

イムノクロマト法は、「モノクローナル抗体」を「金コロイド」という数十ナノメートルの大きさの金の微粒子に結合して使用します。ここでは、何故か結合することを「固定化」と言わず「標識」といいます。

抗体の標識は、静電相互作用と疎水性相互作用で受動吸着するので、抗体溶液と金コロイド分散液を混ぜるだけです。 WSCのような反応性のある試薬は使いません。
そのようにして作った「金コロイド標識抗ヒトHbモノクローナル抗体」分散液は、「ガラス繊維フィルター」の中に乾燥します。

その他に、「ニトロセルロースメンブレン」という、ろ紙みたいな、多孔質になっている膜を使用します。
ニトロセルロースメンブレンには、「抗ヒトHbモノクローナル抗体」を一本の線状に固定化します。これを「試験片」といいます。
抗体の固定化は、ファンデルワールス力で吸着するので、抗体溶液をライン状に塗布して乾かすだけです。

では、検査の原理を図で解説します。

イムノクロマト法

免疫クロマトグラフィー法のイメージ

(1)便溶解液を試験片端部に接触させているガラス繊維フィルターに2滴ほど滴下します。
(2)すると、ガラス繊維フィルター中の金コロイドが分散して、試験片の中を濡れながら広がっていきます。このことを「展開」といいます。そして、便溶解液中にヘモグロビン(Hb)があると、金コロイドに標識化された抗体につかまり展開していきます。
(3)展開が進むと、試験片に固定化された抗体も金コロイドにつかまっているヘモグロビン(Hb)をつかまえます。
(4)さらに展開が進んで、試験片の抗体塗布線上に金コロイドが凝集し、赤紫色のラインとして目で見えるようになって、ヘモグロビンの有る無しを判定できるというわけです。ヘモグロビン(Hb)を捕まえていない金コロイドは試験片の末端まで通り過ぎていきます。

ちなみに、「金コロイドの抗体」と「試験片の抗体」とで抗原(検査目的物質)を「挟んで検出」することから、サンドイッチ法と呼ばれます。

*

検出精度を向上するために、人の血液にある成分でヘモグロビン(Hb)よりも便中の微生物に分解されにくい、トランスフェリン(Tf)というタンパク質を検出する便潜血検査薬もあります。
それでもいまのところ、大腸内視鏡検査が確実に大腸がんを発見できる手段です。

特許的には、大腸がん細胞特有の粘膜タンパク質を検出する免疫学的検査方法が開示されていますが、単なるアイデア特許で実用化はされていないのかな?

*

ということで、これから研究者を目指す中学生のみなさん、画期的ながん検査薬を開発してください。

説明難しかった?(笑

カテゴリー:テクノロジー, 医療

世界の人工肛門オストミー製品を調べてみた。

某調査会社の市場調査レポートによると、
・2014年、2015年とで、新規ストーマ造設、永久ストーマ患者数の伸び率は低下
・人工肛門装具の市場規模はおよそ160億円
とのこと。

KenUの試算では・・・
一人あたりストマ装具代のみにかかる費用が、月平均7,500円として、年間90,000円になり、
“日本国内オストメイト人口”と”表面的数字に表れないオストメイト人口”と”自治体など災害対策備蓄分”を合わせた24万人分を市場規模として計算すると、216億円。

う~ん、どちらにしても、市場は小さいっ!!
国内でストーマ関連ビジネスを展開している企業の経営は大丈夫なのでしょうか?

*

メーカーが良いストーマ製品を開発するモチベーションは、市場規模の拡大です。
しかし、予防医学や医術が進歩してストーマ人口が減少すると、ストーマ装具市場規模は縮小します。

市場規模が縮小すると、革新的な製品の開発が停滞します。

また、市場が縮小すると、淘汰される企業がでてくるはず。

そう考えたときに、「いったい世界にはどれくらいのオストミー製品のメーカーがあるのだろうか?どんな製品があるのだろうか?」といった興味が沸いたので、調べてみました。

*

まず、Ostomy Products(ストマ装具メーカー)とStoma Care Accessory(ストマアクセサリーメーカー)に分けて一覧表にします。

世界のオストミー製品メーカー

とりあえず世界18社のストマ装具メーカーをピックアップしました。
これらのうち、国内では日本法人または代理店がある9社(表中番号1,2,4,5,7,12,13,16,17)の製品が購入可能です。

メーカー名と代理店名が異なりインターネット検索探しにくい製品があるので補足すると、2のビーブラウンは村中医療機器さん、13のマーレンと16のソルトはソルブ株式会社(solve)さんで取り扱っています。

*

さらに、上表の企業を
(1) メーカー・企業名
(2) 会社概要(メーカーサイトAbout us, Facebookなどを参考にKenUが独自に編集)
(3) 創業国
(4) 海外サイトURL(※比較的オストミー製品にたどり着きやすいURLにしました。)
(5) 技術・製品ブランドなどの一例
(6) YouTube動画があれば埋め込み(※あっても、えぐい動画、イマイチな動画は切り捨て)
という内容で以下に整理してみました。

****************
オストミー製品
****************

*1
(1) Alcare(アルケア)
(2) メディカルケア(ウンド、オストミー、ナーシング、運動器)、ホームヘルスケア、スポーツ&セルフケア用品の開発並びに製造・販売、輸出入
(3) 日本
(4) http://www.alcare.co.jp/user/product/stoma/index.shtml
(5) Cellcare(セルケア), Youcare(ユーケアー)

*2
(1) B.Braun(ビー・ブラウン)
(2) 医療関連製品の製造・販売を行っている企業グループ
(3) ドイツ
(4) https://www.bbraun.de/de/produkte-und-therapien/stoma.html
(5) Softima 3S(ソフティマ3S)
(6)

*3
(1) CliniMed(クリニメッド)
(2) 医療市場に専門の製品とサービスを提供する7つの企業で構成さる英国の企業グループ
(3) http://www.clinimed.co.uk/
(4) 英国
(5) Aura(オーラ), Hyperflex(ハイパーフレックス)
(6)

*4
(1) Coloplast(コロプラスト)
(2) 人工肛門、泌尿器科、コンブレンス、および創傷ケアに関連する医療機器およびサービスを開発、製造、販売する国際企業
(3) デンマーク
(4) https://www.coloplast.com/#countryselector
(5) BodyFit Technology(ボディーフィットテクノロジー), SenSura(センシュラ ミオ)
(6)

*5
(1) ConvaTec(コンバテック)
(2) 創傷治癒、スキンケア、オストミーケア、コンプライアンス、クリティカルケア、輸液などの分野で製品とサービスを提供する国際的な医療製品およびテクノロジー企業
(3) 英国
(4) https://www.convatec.co.uk/stoma-care/
(5) Mouldable Technology (モルダブルテクノロジー), Esteem(エスティーム), Natura(ナチュラ)
(6)

*6
(1) Cymed (サイメッド)
(2) 通気性、防水性、薄型薄型デザイン、他にはない快適さなどの利点がある、革新的なマイクロスキンオストミーパウチングシステムを製造
(3) http://www.cymedostomy.com/
(4) 米国
(5) Micro Skin(マイクロスキン)

*7
(1) dansac(ダンサック)
(2) http://befr.dansacimage.com/
(3) 全てのエネルギーと資源をストーマケアだけに注ぎ、ストーマケア関連製品の開発・製造・販売に専念している国際的な企業
(4) デンマーク
(5) Nova(ノバ)

*8
(1) Eurotec(ユーロテック)
(2) 1996年に設立された、オランダの唯一のストーマ器具メーカー
(3) https://www.eurotec.eu/
(4) オランダ
(5) Fleximate(フレクシメイト)

*9
(1) Flexicare Medical(フレクシケアメディカル)
(2) 医療機器の設計、開発、製造における35年以上の経験を持ち、医療機器の供給において世界的に高い評価を得ている英国の大手メーカー。
(3) http://www.flexicare.com/products/ostomy
(4) 英国
(5) Coloset(コロセット)
(6)

*10
(1) FOR LIFE(フォーライフ)
(2) 1990年にベルリンで操業を開始した、30ヶ国以上に輸出している高品質のオストミー製品を開発、生産している企業。
(3) https://www.forlife.info/en/
(4) ドイツ
(5) STOMOCUR(ストモカー)

*11
(1) Genairex(ジェンエアレックス)
(2) 20年近くにわたり、高品質のオストミー器具および付属品のフルラインを提供
(3) http://www.securitusa.com/our-products
(4) 米国
(5) Securi-T(セキュリ ティー)

*12
(1) Hollister(ホリスター)
(2) オストミーおよびストーマケア、失禁ケア、創傷ケア、産科、身元確認製品の分野をリードする企業
(3) http://www.hollister.com/en?hl=en
(4) 米国
(5) Moderma Flex(モデルマフレックス), New Image(ニューイメージ)

*13
(1) Marlen Manufacturing(マーレンマニュファクチャリング)
(2) 1952年に創立され、最も包括的かつ革新的な製品ラインナップを提供する、米国で活動している最も古いオストミー企業
(3) http://www.marlenmfg.com/
(4) 米国
(5) UltraMax(ウルトラマックス)

*14
(1) Ostomy SuperSan(オストミースーパーサン)
(2) 最新の人工肛門、創傷ケアおよび排泄製品に特化した革新的な医療機器および技術企業
(3) http://www.ostomysupersan.com/
(4) 米国
(5) Built in Check Valve technology

*15
(1) Safe n’ Simple(セーフエヌシンプル)
(2) オストミーおよび創傷治療市場で、手頃な価格で優れた品質の多種多様な医療製品を提供
(3) http://www.sns-medical.com/ostomy-care.html
(4) 米国
(5) なし

*16
(1) Salts Healthcare(ソルトヘルスケア)
(2) オストミー製品、装具を製造する英国最古の家族経営の製造会社
(3) http://salts.co.uk/United-Kingdom/Our-Products.aspx
(4) 英国
(5) Confidence(コンフィデンス), Flexifit(フレキシフィット)
(6)

*17
(1) TG Eakin Limited(ティージーイーキンリミテッド)
(2) ストーマや創傷ケア用の高品質の皮膚保護製品の製造に専念する医療機器メーカー
(3) http://www.eakin.eu/
(4) 英国(北アイルランド)
(5) ストーマシール(Cohesive・コヘッシブ), 粘着剥離剤(Release・リリース)
(6)

*18
(1) Torbot(タルボット)
(2) 50年以上にわたり、独自のオストミー製品群を製造し、スキンケア、創傷ケア、失禁を扱う主要なブランドの製品ラインナップを提供
(3) https://www.torbot.com/
(4) 米国
(5) Atlantic(アトランティック)

 

****************
ストーマケアアクセサリー
****************

*1
(1) NB Products(エヌビープロダクツ)
(2) 市場で最も人気の高いオストミー消臭剤を1998年2月に市場に導入。
(3) http://www.nascent4u.com/
(4) 米国
(5) パウチ消臭剤(Na’Scent・ナッセント)

*2
(1) Opus Healthcare(オーパスヘルスケア)
(2) Alliance Pharmaceuticals Ltdの一部門で、ストーマケアアクセサリー製品の開発、調達、流通および販売を専門
(3) http://www.opus-healthcare.co.uk/
(4) 英国
(5) パウチ消臭剤(NaturCare・ナチュルケア), 粘着剥離剤(Lift Plus・リフトプラス)
(6)

*3
(1) Trio Ostomy Care(トリオオストミーケア)
(2) 最先端のシリコン技術による世界で初めてのシリコンベースオストミーケア用品のリーディングサプライヤ
(3) 英国
(4) http://trioostomycare.com/
(5) 粘着剥離剤(Elite・エリート), ストーマシール(Siltac・シルタック)
(6)

*4
(1) 3M(スリーエム)
(2) 46のテクノロジープラットフォームを使用して、顧客と協力して画期的な開発を行う、世界的な科学企業
(3) http://www.3m.com/
(4) 米国
(5) スキンケア製品(Cavilon・キャビロン)
(6)

*

いろいろと調べてみて、元コンバテックのストマ製品開発技術者が企業したメーカーがあったり、予想通り大腸がん大国の米国の企業が多かったり、コンバテックのシレッセ皮膚被膜剤は元々はトリオの製品だったり、おもしろかったです。

なお、3Mは、オストミープロダクツメーカーの分類に加えませんでしたが、ウレタンフィルムを基材にしたハイドロコロイド皮膚保護材のロール状の原反(げんたん)を製造販売しています。
もしかしたら、3Mの原反を装具に加工して販売しているだけの会社もあるかも知れません。

実は、国内には、某メーカーのフィルムドレッシングを面板の形に切断して、ポリ袋を取り付ける加工をして、使い捨てストマ装具として販売している個人がいます(笑
もちろんフィルムドレッシングメーカーもそのような使用を許可・保障しているわけではありません。
めちゃめちゃ安いですが、構成と使用材料の特性から考えて、使い物にならないことは想像に難くありません。

また、あえてピックアップしなかったメーカーが数社あります。
会社名とその理由を書いてみると・・・
・Nu-Hope Laboratories: 非粘着性のベルトで固定するユニークなパウチングシステムだから。
・Austin Medical Products: おそらく運動時に使うもので、ストマにかぶせる吸収性のおむつのようなパッチ製品だから。
・Perfect Choice Medical Technologies: サイトの出来が悪く素人レベル、会社概要も書けそうになかったから(笑
・Bao-Health Medical Instrument Co., Ltd.: 中国の会社で、サイトにアクセスしようとするとマカフィーの警告がでるから(笑

*

以上、調べただけで、とくに結論はありません(笑

まあ、そんなことを言わずに、最後に付け加えるとすると・・・
KenUは、現在使用している装具で満足しているので、試そうとは思っていませんが・・・

面白いと思った製品は、ソルト社のフレキシフィットというツーピース装具の面板。
数式を示して理論的に理屈を説明した動画があります。

ちょっと興味がある製品は、トリオのシルタックというシリコーン製のシール材。
ハイドロコロイド製品が多い中、めずらしいので。

実際に試してみたい製品は、日本に未導入の消臭剤。
消臭剤のコストは意外にもかかっていますし、選択肢も日本ではアダプトとデオールしかないから。
数か月前にナッセントのサンプルを請求してみたけど、音沙汰なし。
シカトです(笑。
たぶん、日本に取扱い代理店がないからなんでしょうね。

ちなみに、剥離剤、皮膚保護材、パウダーなどのストマケアアクセサリー製品は、コスト的にも性能的にも、今使っているもので満足しています。

************** 関連記事 **************

ストーマ装具の選定と便排出処理するのにこんなのが欲しい!

最近、これはいい!と思ったストーマケアアクセサリー

一品系ストーマ装具のダンサックからホリスターへの乗換えを検討。

***********************************

カテゴリー:ストーマ, stoma, 医療

はじめての人工肛門からの大腸内視鏡検査と不安要素

********* 目次 *********
はじめに
不安要素その1 腹部の激痛
不安要素その2 下剤による就寝中の便排出
不安要素その3 腸管洗浄時のストーマ装具からの便排出
不安要素その4 検査当日のストーマ装具の交換
不安要素その5 異常の発見
おわりに
*************************

はじめに

直腸の肛門に極めて近いところに悪性新生物(悪性腫瘍、がん)が生じ、永久的なS状結腸ストーマ(人工肛門)を造設してから、2年3か月になります(関連記事[1])。

既に1年目に、主治医からは、大腸内視鏡検査をすることを薦められていましたが、KenUは断り続けていました。
しかし、さすがに2年目は断りきれなくなり、8/19に生まれて初めてのストーマからの内視鏡検査を受けたという訳です。

不安なことだらけで、検査当日までの数週間は、そればかり考えてとても憂鬱でした。

という訳で、KenUが検査までにどんなことを考え、どのようにして検査に臨み、そして、どんな結果になったのか記事にしたいと思います。
※すみません、長い記事なってしまいました。

なお、本記事を読み進めるに当たって、病院によって検査のやり方、説明、対応が異なると思いますし、ストーマの種類の違い、個人の考え方や心情やパーソナリティーの違いもありますので、批判・誹謗中傷はご遠慮ください。

*

不安要素その1  腹部の激痛

まだお尻に穴(肛門)があった頃に、そこから内視鏡を2回ばかり入れた経験があります。

1回目は、痔の手術時に医師が目視で直腸の腫瘍を発見したので、翌日まで絶食して内視鏡を入れました。
病理組織検査用の腫瘍組織サンプル採取が目的だったので、入れたのは直腸までで、ほとんど痛くありませんでした。

2回目は、その腫瘍が悪性と分かり、転院先の病院で精密検査のために、大腸のいちばん奥・盲腸まで入れました。
このときは、S状結腸とコーナー部分を通すときに超激痛で、途中で「まじやめて」と思いましたし、「死んだ方がまし」、「2度とこの検査は受けない」と思いました。
なので、今回の検査でも激痛にならないか、とても不安だったわけです。

そして今回、検査前に、検査技師さんと付添いの看護師さんに上記の話をして、
「途中でやめてと言ったら、やめてもらえますか?」と聞いたところ、了解してもらえました。

結果としては、痛みは、下痢したときの腹痛程度でした。
その理由が、検査技師さんの手技が上手だったからなのか?、天然肛門ではなく人工肛門だったからなのか?、内視鏡挿入時の身体の姿勢が違うからか?についてはわかりません。

ちなみに、検査直前に、胃カメラを飲むときと同じく、ブスコパン注20mgを肩に注射しました。
これはアトロピン系製剤で、副交感神経の神経節に作用し、消化管・胆のう・尿管・膀胱など管腔臓器の痙れんを和らげて疼痛を除く作用があります。
ストーマからの内視鏡の挿入は、仰向けにまっすぐ寝た体勢で行いました。

検査後、看護師さんに、「今回くらいの痛みでしたら、また検査を受けても良いと思いましたか?」と質問されてしまいました(笑

*

不安要素その2 下剤による就寝中の便排出

検査2日前の晩と検査前日の晩に下剤を服用します。
つまり、就寝中に大量の排便が起こって、ストーマ装具パウチがパンパンになって便漏れが起こらないか?という不安がありました。

でも、結果的には、検査当日の未明まで全く排便はありませんでした。
というのは、検査2日前の朝から、下剤も飲んでないのに頻繁な排便がはじまって、トイレに4回もいって腸内の便を出し切ってしまったんですね。
通常このパターンが起きると2日は便が出なくなるので、ラッキーでした。

余談ですが・・・
検査2日前は普通に食事をしても良いということだったので、昼食にはこれ↓を食べました。

丸亀製麺おろし醤油うどんとイカ天
丸亀製麺のおろし醤油うどんとイカ天

店の説明では、おろし醤油うどんにはテーブルに置いてある「だし醤油」をかけ、天ぷらには「だしソース」をかけるということですが、KenUにはそれがいまいちです。
個人的には、おろし醤油うどんには「かけうどんのつゆ」、天ぷらには「だし醤油」をかけるのがベストで、ねぎをたっぷりと乗せるのが大好きです。
それから、うどんは消化もよいし、イカ天のイカ自身も低脂肪高タンパクで胃酸とトリプシンで分解されやすくて消化は良いので、大腸検査前食としては好適ではないかと考えています。
※生やりいか100g中、水分79.7g、たんぱく質17.6g、脂質1.0g、炭水化物0.4g(2010日本食品標準成分表・文部科学省より)

ただし、多量のねぎと天ころもは消化によろしくないですけど(笑

それから、夕食は、ごはんもおかずもいつもの半分に控えました。
また、下剤(薬)を飲むので、アルコールも控えました。

*

不安要素その3 腸管洗浄時のストーマ装具からの便排出

腸管洗浄剤を服用して、便の排出がどのようになるのか、まったくイメージできなかったんです。

ストーマから、ちょろちょろと出続けるのか?不定期的にある程度の量がまとまって排泄されるのか?
どのくらいの間隔で、どのくらいの量が排泄されるのか?
ストマパウチからの排出の仕方とタイミングはどうなるのか?
など。
肛門があった頃のように、排泄物を肛門括約筋でとめることができないから。

とりあえず、楽に処理するためには、腸内にできるだけ便をためて置かないこと、前日は消化の良いものを食べること、が良いであろうと考えられたので実践しました。

病院からの指示は、「検査前日は、残渣の少ない食事を摂ってください。」「野菜、果物、海藻類、キノコ類、種のある物は控えてください。」です。

ということで、検査前日の食事メニューは、検査食を参考にして(関連記事[2])・・・
朝食/クリームチーズマフィン(1個)、水
昼食/おにぎり(海苔なし、小2個)、永谷園のお吸い物(具は残す)、水
夕食/中華がゆ(茶碗半分)、味付き鶏肉(2切れ)、インスタント味噌汁(具なし)、水、チョコチップクッキー(2個)
で我慢しました。
もちろん、アルコールは控えました。

で、結果としては、操作は忙しかったですが、順調に便の排出処理ができました。

*

では、腸管洗浄、便排出の経過をレポートします。

・検査当日の2:30頃から排便が始まる(固形~泥状)→朝まで放置
・朝7:00起床、コップ一杯の水を飲む
・いったんパウチから便をトイレに排出
・はみがき、ひげそり
・経口腸管洗浄剤(モビプレップ)と水を準備

モビプレップ

・トイレ向かいの階段に座り込み、iPhoneをいじりながら、7:45からモビプレップ服用開始

モビプレップの飲み方と便の排出パターンは下の写真のとおりでした。
※飲み方は、説明書と病院からの指定の飲み方とで違っていたので、KenU的に調節しました。

モビプレップ飲み方と排泄状況
↑画像をクリックすると別タブで拡大表示できます。

補足:採血もあり12:00までに病院に行かないといけないので、少し早めに服用を開始しました。検査は13:00。
上写真の飲む時間は、飲み終わる時間の目安にして、パウチから便を排出するタイムロスを考えて少しハイペースで飲みました。

パウチからの排出は、200~300mLくらい?溜まってからにしました。※溜めすぎると、排出操作がやり難くなると思います。
なお、KenUがメインで使用しているパウチの最大容量は実験で確かめています(関連記事[3])。

6杯目の水を飲み終えて、4回目の排泄をしたときには、透明な綺麗な水溶便になりました。

7杯目のモビプレップを飲み終えて、5回目の排便も綺麗な透明だったので、8杯目のモビプレップはパスして、9杯目の水を9:45までに飲み終えて終了しました。
そのときは、トイレに残りのいろはすのボトルとiPhoneを持ち込んで、便座に座って、パウチの排出口を開いて便器に垂らして、水様便を垂れ流しの状態にして10:15までトイレにこもっていました。
その後、いったんパウチの排出口を閉じて、その後11:00までに300mLくらい水様便がたまったので排出し、念のため、余っていたダイアモンドのサンプル(関連記事[4])をパウチ内に入れて病院に向かいました。
結果的に、それ以上水様便は出なかったのでダイヤモンドは活躍できませんでしたけど(笑

*

余談ですが・・・
水溶便は断続的に出たり、ちょろちょろと連続的に出たりしました。
排泄し始めの固形状や泥状の便は、排出後パウチ内を拭かずに便が付着したままにしておいても、後から出てくる水様便で洗えば綺麗になります(笑
なので、パウチの排出口の部分だけ拭きます。

それから、「ここまで必ず飲む」の言いつけを守らなかった理由は、モビプレップの説明書に1L服用途中で排泄液が透明になったら服用を終了してもよいと書いてあったのと、モビプレップがメチャメチャ不味かったから。
一口飲んで吐きそうになりました。
梅ドリンクとピクルスを合わせて水で薄めたような味で、においもへんな酸味臭がします。
これを飲まなければならなかったことは、今回の検査における何よりの拷問でした。
もう、二度と・・・死んでも飲みたくないです(笑
個人的には、ニフレックスのほうが我慢できます。

*

不安要素その4 検査当日のストーマ装具の交換

検査当日は、ストーマ装具はどうしたらよいのか?

換えを用意していくように言われただけで、どんな手順になるのか前もって詳しい説明がなかったんです(というか検査室の看護師さんではなかったので、どのような手順になるのか説明できなかったのだと思います)。

検査当日までに、下剤の影響で下痢をして交換が早まらないか?、腸管洗浄の水様便で面板が溶けないか?など、わからないことばかり。
結果としては、火曜日の晩に交換して、検査まで装具は持ちこたえました。
※お金がかかりますが、毎日交換してもよいくらいの気持ちでいた方が気が楽かもしれません。

それから、「内視鏡検査室の看護師さんは、ストーマ外来や外科の看護師さんと違って、たいしたことはしないだろうなぁ」という予測のもと、自分でメンテナンスキット(関連記事[5])、(関連記事[6])を用意し、面板はあらかじはさみで穴を切って行きました。
それで大正解!!
※なお、手袋と不織布ガーゼは、言えば病院でもらえるので不要でした。

ストーマ装具交換用セット

*

では、検査室でのやりとりです。

看護師:「頭をあちら側に向けてベッドの上に横向きに寝てください。」
KenU:「あのぉ~。お尻からじゃなくて、ストーマなんですけど。パウチはどうしたらよいですか?」
看護師:「そうだったんですか。私が外してもよろしいですか?」
KenU:「できます?」
看護師:「はい。このまま剥がして痛くないですか?」
KenU:「いや、ちょっと待って。リムーバ使わないと。剥がした後は、洗浄してくれるんですか?」
看護師:「ストーマ外来みたいに洗浄ボトルなどは置いていないので、拭くだけです。」
KenU:「やっぱりそうですよね。そう思って道具を用意してきたので、自分で剥がして自分で洗ってもいいですか。」
看護師:「はい、わかりました。どうぞこれ(ビニール袋、不織布ガーゼ)を使ってください。」
KenU:「ビニール袋をお腹に貼り付けたいのでテープありますか?」
看護師:「優肌絆でいいですか?」
KenU:「はい。それから、不織布ガーゼを濡らしてもらえますか?」
看護師:「ぬるま湯で濡らしてきますね。」
KenU:「有難うございます。」

そして、ブラバ剥離剤スプレーを使って手早く面板を剥がして、手袋をはめてハビナース清拭料で手早くストーマを洗浄して(関連記事[7])、ぬらした不織布ガーゼでよく拭き取りました。
ちなみに、ストーマは水様便で洗われて綺麗になっていたので、便臭はしませんでした。

検査後は、ストーマとその周囲が検査で使用したゼリーでベタベタになっているので、ぬらした不織布ガーゼでよく拭き取って、手早くストーマ装具を装着しました。
なお、腸内は空っぽで便が出ることがないので、消臭潤滑剤は帰宅してからパウチに入れました。

*

不安要素その5 異常の発見

がんの再発が見つかるのかどうかが一番の不安ですが、もし見つかったら、それはそれで苦しい思いをしてでも検査を受けた意義があります。

異常が見つかる方がよいのか、見つからない方がよいのか、とても複雑で微妙な気持ちです。

じつは、以前のがんの精密検査の内視鏡検査ときに、S状結腸に直径8mmのポリープが見つかり、その場で切除したという経験があります。

結果的には、今回の検査では、再発やポリープなどの異常は見つからなかったということで、ほっとしました。

*

おわりに

以上、スラムダンクの「湘北の不安要素その4!!素人・桜木!!」田岡監督風にまとめてみました(関連記事[8])。

ということで、はじめてのストーマからの大腸内視鏡検査を無事に終えることができました。

検査自体は、短時間だけ軽度の腹痛があっただけで、それほど辛いものではありませんでした。

辛かったのは、検査前の自主的な食事制限とモビプレップの服用かな。
でも、食事制限をしたおかげで、腸管洗浄を比較的楽にできたのではないかと思っています。

最後に・・・

お尻の穴から内視鏡を入れられるよりも、ストーマからのほうが良かったことが一つあります。

それは、「犯された感」がなかったことです(笑

************** 関連記事 **************

[1]KenUの直腸癌切除術と入院中の備忘録

[2]大腸注腸検査の前日は、仕事は無理。検査時の感覚は・・・

[3]人工肛門ストーマパウチからのトイレでの便の出し方

[4]イレオストミー用の消臭・吸収ゲル化剤をコロストミーが使ってみた。

[5]外出のときのストーマ洗浄用に清拭料をミニ泡ポンプボトルに詰替えてみた。

[6]今頃ですが、ストーマからの排便キットを作りました。

[7]人工肛門ストーマ装具交換の動画をアップしてみた。

[8]何故今SLAM DUNK (スラムダンク)なのか?

***********************************

カテゴリー:ストーマ, 健康, 医療

人工肛門から出る便のpHとストーマ用品のpHはどれくらい?

さて、以前「夾雑物のない純粋な大腸粘液のpHを測定してみた。」という記事を書きましたが、今回は、自分のストーマから排泄したいろいろな性状の便のpHと、いろいろなストーマ用品のpHを測ってみました。

ストーマスキントラブルについて、いろいろなサイトを見ていると、言われていることが違っていたり、あやふやだったり、本当のところどうなのか、自分で確かめてみたくなってしまったんです。
そして、真実を明確にして、自分自身でいろいろと考察したいと思ったわけです。

※ なお、このブログ記事の実験結果や考察は、”S状結腸ストーマのKenUの場合”であって、他の結腸ストーマ、回腸ストーマ(イレオストミー)に当てはまるかどうかは分からないということを、先に申し上げておきます。また、ここでいう下痢便とは、上行結腸ストーマやイレオストミーの水様便とは異なるものです。

記事は専門的な内容なので、恐らく、一般の方が読んでもちっとも面白くないと思いますから、興味のある方だけどうぞ。 便の写真はだしていませんから、安心してください(笑

 

********* 目次 *********
1. ブリストルスツールスケールについて
2. 人工肛門からの排泄便の性状とpHの関係
3. 種々のストーマ用品のpH
・ストーマパウダー
・創傷被覆保護材
・ストーマ装具面板(皮膚保護材)
・消臭潤滑剤
・洗浄料(ボディーソープなど)
4. ストーマスキントラブル(ストーマ周囲皮膚炎)について
5. 余談
6. 参考文献
*************************

1. ブリストルスツールスケール(ブリストルスツールチャートともいう)について

便の形(性状)は、ブリストル便尺度(図1)によって、Type1の硬いコロコロ便からType7の水様性の便に分類され、便が大腸を通過する時間と相関すると言われています。

図1 Bristol Stool Scale ( Bristol Stool Chart )

図1 Bristol Stool Scale ( Bristol Stool Chart )

上行結腸の便は下痢状になっていて、そこから横行結腸に進んで、「シャトル運動」によって横行結腸の中を往ったり来たりしながら徐々に水分が吸収され、便は硬くなっていきます。(参考文献1)
腸の大蠕動(だいぜんどう)が起きると、素早いものは横行結腸の便を1分足らずで直腸まで運んでしまうそうです。

*

2. 人工肛門からの排泄便の性状とpHの関係

以前と同様に、アズワンのスティックタイプのpH試験紙(測定レンジpH5.5~9.0)(写真1)で、ストーマパウチに排泄されたKenUの便pHを測定しました。

写真1 アズワン スティックpH試験紙

写真1 アズワン スティックpH試験紙

なお、硬い便(水分が少ない便)は、そのままではpHが測定しにくい場合があったので、日本薬局方 精製水を少量加えて柔らかくしてからの測定も行いました。

表1に、便のpHを測定した日、測定した時間、排泄した便のブリストル便尺度、色及びpHを示しました。

ちなみに、排泄するたびに測定したわけではなくて、比較的出したてほやほやのタイミングで測定できるときに実験しました。
朝に便が出ることが多いですが、真夜中にたくさん出ることもあります。

表1 KenU のストーマからの排泄便の性状とpH

表1 KenU のストーマからの排泄便の性状とpH

参考までに、6月12日に測定したpH6.0の尿とpH7.0の便のpH試験紙は、写真2です。

写真2 尿pH6.5(左)、便pH7.0(右)

写真2 尿pH6.0(左)、便pH7.0(右)

それから、わかりやすいように、便のTypeとpHの関係をグラフにしてみました(図2)。

図2 ブリストルスケールとpH (※Typeは数値ではないので、本来は回帰直線と相関係数を示すことは不適切ですが、Open OfficeのCalcでもこういうことができますよという紹介のため示しました。)

図2 ブリストルスケールとpH (※Typeは数値ではないので、本来は回帰直線と相関係数を示すことは不適切ですが、Open OfficeのCalcでもこういうことができますよという紹介のため示しました。)

下痢便のpHは酸性側に傾き、硬い便のpHはアルカリ性側に傾き、相関性があるのがよくわかります。
また、論文ではイレオストミーの便は酸性の傾向がある結果が得られています。(参考文献2)

今回の結果は、同一人物の便を用いた個体差のない実験であり、学術的に面白いのでは?

*

3. 種々のストーマ用品のpH

写真3 ストーマ用品pH測定実験器具

写真3 ストーマ用品pH測定実験器具

実験試料の調製は、水道水ではなく、日本薬局方 精製水(健栄製薬、Lot.P6H48、Exp.2020.4)を使いました。

*

ストーマパウダー

まず、ストーマパウダー(写真3)の1%水溶液を調製してpHを測定しました。

試料:
・ブラバパウダー[試供品]Lot.1907、Exp.不明(2年前にもらったのもので使用期限切れかも?)
・ストマヘッシブ プロテクティブ パウダー(バリケアパウダー)Lot.4K096、Exp.2017.10

写真4 ストーマパウダー1%水溶液pH測定結果(左から、ブランク、ブラバパウダー、バリケアパウダー)

写真4 ストーマパウダー1%水溶液pH測定結果(左から、ブランク、ブラバパウダー、バリケアパウダー)

ブラバパウダーはpH6.0~pH6.5(使用期限切れの可能性あり参考値)、バリケアパウダーはpH5.5の弱酸性(写真4)。
ということで、バリケアパウダーは皮膚pHに近い結果でした。

通常KenUは、装具交換時にストーマと面板との間にできる隙間にバリケアパウダーをふりかけて使用しています。

*

創傷被覆保護材

褥瘡治療にも使用される抗菌性創傷被覆保護材(写真5)の水溶液を調製してpHを測定しました。

試料:
・コンバテック アクアセルAg(ConvaTec AQUACEL Ag)Lot.3J00171、Exp.2015.09(使用期限切れ)

写真5 アクアセルAg溶解

写真5 アクアセルAg溶解

写真6 創傷被覆保護材のpH測定結果(左から、ブランク、アクアセルAg)

写真6 創傷被覆保護材のpH測定結果(左から、ブランク、アクアセルAg)

今回測定したアクアセルAgは、使用期限切れだったので参考値ですが、pH5.5の弱酸性でした(写真6)。

このサンプルは、ストーマ造設術後の入院中に、不良肉芽の影響で面板の下に水溶便が漏れやすかったので、WOCナースさんがストーマ周囲に巻いてくれていたものの残りです。
そのときに、ストマ周囲の皮膚がびらんになりそうなとき、びらんになってしまったときには、この抗菌性を有するAg(銀)含有の創傷被覆保護材での処置方法は適切かつ効果的なのだろうなと思いました。

*

ストーマ装具面板(皮膚保護材)

ストーマ装具皮膚保護材の水溶性成分を精製水で溶かした溶解液のpHも測定してみました。

試料:
・ホリスター ニューイメージ FWFテープ付き(14203)Lot.5K252、Exp.2020.11
・ダンサック ノバ1 フォールドアップ(824-15/10)Lot.5E285、Exp.2020.04

写真7 ストーマ装具面板溶解

写真7 ストーマ装具面板溶解

面板がわずかに浸る程度に精製水を入れて溶かしました(写真7)。

写真8 面板溶解液pH測定結果(左から、ブランク、ホリスター ニューイメージFWF、ダンサック ノバ1)

写真8 面板溶解液pH測定結果(左から、ブランク、ホリスター ニューイメージFWF、ダンサック ノバ1)

ニューイメージFWFもノバ1も、同じpH5.5でした(写真8)。
ブラバパウダーとも同じpHで、皮膚に近い弱酸性を維持するためということがわかります。

*

消臭潤滑剤

ストーマパウチの中に入れる消臭潤滑剤(写真3)そのままのpHを測定しました。

試料:
・コロプラスト デオールLot.C601、Exp.2019.02
・ホリスター アダプトLot.4H272、Exp.2016.08

写真9 ストーマ装具消臭潤滑剤pH測定結果(左から、ブランク、デオール、アダプト)

写真9 ストーマ装具消臭潤滑剤pH測定結果(左から、ブランク、デオール、アダプト)

デオールは大腸粘液と同じpH9.0で((参考文献3)←参照リンク)、アダプトはpH7.0(中性)でした(写真9)。

どちらの製品も、面板の粘着面やフランジに付かないようにすることが、使用上の注意に書いてあります。弱酸性ではないから?
ストーマに付くのは問題ないのでしょうね。

*

洗浄料(ボディーソープなど)

ボディーソープなどいろいろな洗浄剤(写真10, 写真11)のpHを測ってみました。

試料:
・メルサボン 薬用ハンドウォッシュ(ホイップタイプ) フローラルハーブの香り
・ハビナース 清拭料(泡タイプ)
・コロプラスト ベッドサイドケア(Bedside-Care®No-rinse body wash, shampoo and incontinence cleanser)Lot.4713734、Exp.2017.07(国内未発売、輸入品)
・ダヴ リッチケア ボディウォッシュ シアバター&バニラ
・アルケア リモイスクレンズ

写真10 いろいろな洗浄料

写真10 いろいろな洗浄料

写真11 リモイスクレンズ

写真11 リモイスクレンズ

なお、比較のため水道水も測定したところpH6.5~pH7.0を示し、KenUが居住している市で公表している原水水質試験(検査) 結果とほぼ同じだったので、このpH試験紙で正しく測定できていると思います(写真12)。

写真12 いろいろな洗浄料のpH測定結果(左から、ブランク、水道水、ハンドウォッシュ、清拭料、ベッドサイドケア、ボディーウォッシュ)

写真12 いろいろな洗浄料のpH測定結果(左から、ブランク、水道水、ハンドウォッシュ、清拭料、ベッドサイドケア、ボディーウォッシュ)

写真13 洗浄料のpH測定結果(左から、ブランク、リモイスクレンズ)

写真13 洗浄料のpH測定結果(左から、ブランク、リモイスクレンズ)

ハンドウォッシュはpH8.0の弱アルカリ性でした。KenUはこれで、ストマやストマ周囲皮膚を洗浄することはありません。
ハビナースの清拭料はpH5.5の弱酸性でした。装具交換時のストマとストマ周囲皮膚の洗浄にしています。
ベッドサイドケアはpH6.5~pH7.0、リッチケア ボディーウォッシュはpH7.0付近で、どちらもほぼ中性でした。これらでストマを洗うことはありませんが、ストマ周囲皮膚を洗うことはあります。

リモイスクレンズは、pH5.5の弱酸性でした(写真13)。サンプルをいただいて、試しにストーマ周囲皮膚を洗浄してみただけで、あまりにもオイリーなのに戸惑い、そのときには結局、ハビナースの清拭料でストーマごと洗い直し、さらに周囲皮膚をリッチケアで洗い直してしまいました(笑。
リモイスクレンズは、一応、皮膚pHと同じ弱酸性に製品設計されているのでしょう。

*

4. ストーマスキントラブル(ストーマ周囲皮膚炎)について

「素人が勝手なこと言うな!」と専門家の方々に怒られそうですが、とりあえずKenUなりにストーマスキントラブルに関して考察したいと思います(笑。 ※一応、元R&Dマンなので、それなりに知識はあるつもりです:)

以上のとおり、いろいろなもののpHを測定してみたわけですが、下痢便のpHは弱酸性でした。
そして、下痢便の消化酵素がストーマ周囲皮膚炎に影響すると言われていることに関して、ちょっと疑問に思いました。
ちなみに、一般的に消化酵素という一言で片づけられてしまっていて、具体的にどの酵素か述べられていませんが、膵液由来のたんぱく質分解酵素であるトリプシン、キモトリプシンのことだと思います。

ストーマスキントラブルの原因は、便の性状、皮膚浸軟によるバリアー機能低下が一番のファクターになるのかな?
その根拠として、TTS(低分子、親油性、マセレーション)の話とか、皮膚刺激の話とか、酵素活性の話とか、褥瘡の話とか、いろいろとありますが、割愛します。

参考として、おむつかぶれについて、その原因のうちの一つのメカニズムついて書いてみると・・・

おむつには、便も尿も排泄されます。
尿は弱酸性です。
それに、弱酸性の便が混ざっても弱酸性です。
でも、便中にウレアーゼ産生腸内細菌がいると、尿中の尿素がウレアーゼという酵素で分解されてアンモニアができてアルカリ性になります。
アルカリ性になると、便中の消化酵素が活性化されて、たんぱく質からなる皮膚角質外表層を分解します。(参考文献4) ※下線部は本当? 皮膚の新陳代謝では、皮膚に内在するトリプシン様のたんぱく質分解酵素が、角質細胞同士を接着しているデスモソームというタンパク質を分解することにより、剥離を促して古くなった角質を垢として落とすのですが、便中トリプシンによる皮膚の分解は、それと同様の分解メカニズムなのでしょうか?。エビデンスが見てみたい。 

一方、ストーマの便に関しては、尿が混ざることはないので、酸性の下痢便がストーマパウチ内でアルカリ性になることはありません。
トリプシンの至適pH域はpH8~pH9の弱アルカリ性、至適温度は体温(直腸温:37℃)ですが(参考文献5)、ストーマパウチ内はどちらかというと室温に近く、皮膚表面温度は32℃と体温より低めで、便は弱酸性なので、消化酵素の活性は低くなると考えられます。
そのうえ、下痢をすること自体の原因が、消化酵素の働きが悪く、たんぱく質をアミノ酸レベルにまで分解しきれないため、ということも酵素活性がかなり失われていることを説明する根拠です。

ということで、下痢便によるストーマ周囲皮膚炎の主原因は、消化酵素以外の別の違うところにあるのではないかと思います。
ストーマスキントラブルについて「pHが・・・」とか「消化酵素が・・・」とか言ってしまうと、どうにも対処のしようがなく、また本質的な原因が見えなくなってしまい、正しい説明と正しいケアができなくなってしまうので注意が必要だと思いました。

以上、ストーマ周囲皮膚炎の本当の原因は何なのか?大変興味があるKenUでした。

*

5. 余談

実は、尿と便を混ぜると、時間経過でpHがどのように変化するのかも実験しています。
自分のうんちとはいえ、こねくり回すのは気持ち悪かったなぁ(笑

結果は・・・衝撃的で、公表すると炎上しそうなので教えないことにします。

*

真夜中に便が出て、ストーマパウチの処理をしているうちに、目が冴えてきます。
そして、寝不足になって、日中の仕事中に眠たいの何の。

排便が不規則になると、生活リズムが狂います。
眠くて我慢できずに20:00頃に寝てしまうと、3:00前には目が覚めるし。
こういったところが、オストメイトであるKenUの悩みの一つでもあります。

*

今回の実験で悩んだのが、便の色の表現。

ネットでカラーチャートとかWeb色見本とかを見てみたけど、ピンとくるのが見つからなかったんです。
現物は、ツヤがあって、鮮やかな色だから。

ミルクチョコレート色とかビターチョコレート色とか結構近いイメージの色もあったけど、多分、それを言われても各個人でイメージする色が違いますよね?
明治のアーモンドチョコレート色とか特定してしまえば分かりやすけど、自分自身が、どのチョコがどんな色をしていたかなんて覚えてないし。

というわけで、実験結果の便の色は、適当にそれっぽい色だったと理解してください。

*

今回の記事に対する、専門家の方からの反論とか、持論とかお待ちしております。
その際には、必ずソース(文献・論文)を示してくださいね。

*

6. 参考文献

1)神山 剛一, 『脊損ヘルスケア・基礎編』 第6章 直腸機能障害, NPO法人日本せきずい基金 2005年刊

2)N. MADANAGOPALAN, S. ARUMUGAN NADAR, AND R. SUBRAMANIAM, Variation in the pH of faeces in disease, Gut, 1970, 11, 355-357

3)KenU, 「夾雑物のない純粋な大腸粘液のpHを測定してみた。」, IKINARI LARC blog,  https://goo.gl/On75sJ (May 26, 2016)

4) Irritant diaper dermatitis, From Wikipedia, the free encyclopedia, https://en.wikipedia.org/

5)Trypsin, From Wikipedia, the free encyclopedia, https://en.wikipedia.org/

************** 関連記事 **************

夾雑物のない純粋な大腸粘液のpHを測定してみた。

ストーマ装具を交換するときに、どんな皮膚洗浄料を使用するのが良いか?

外出のときのストーマ洗浄用に清拭料をミニ泡ポンプボトルに詰替えてみた。

ストーマ装具の選定と便排出処理するのにこんなのが欲しい!

人工肛門ストーマパウチからのトイレでの便の出し方

足の親指の爪の脇が化膿して痛いときのKenUの治療法

***********************************

カテゴリー:ストーマ, 医療

夾雑物のない純粋な大腸粘液のpHを測定してみた。

ストーマ周囲皮膚炎の原因を研究していくうちに、大腸粘膜のpHが知りたいと思い実験しました。

というのは、研究者や専門家でさえ、健常者から糞便や細菌や消化液などの混じり気のないピュアな大腸粘液を採取するのは不可能だということに気が付いたからです。

そして閃いたのが、私KenU自身の下行・S状結腸ストーマ(人工肛門)から純粋なピュアな粘液を採って測ればいいじゃんって(笑。
ストーマは大腸そのものなんだから。

ということで、pHを測定してみたので記事にしたいと思います。

もしかしたら、この実験結果は世界初かも?
*

[実験方法]

pH測定には、アズワンのスティックタイプのpH試験紙(測定レンジpH5.5~9.0)を使用しました。

AS ONE Special Test Paper pH5.5-9.0

AS ONE Special Test Paper pH5.5-9.0

←Amazonで見てみる。

まず、弱酸性の泡タイプ清拭料(ハビナース)でストーマとその周囲皮膚を綺麗になるまでよく洗浄しました。
←Amazonで見てみる。

洗い方は、以前書いた記事「人工肛門ストーマ装具交換の動画をアップしてみた。」の埋め込み動画を見てください。

なお、清拭料のpH測定結果は、家庭用品品質表示法 施行令・規則 雑貨工業品品質表示規程(消費者庁HPより←参照リンク)の区分の弱酸性に当てはまり、pH5.5以下(写真1:左から2番目のスティック)を示しました。
pH3.0未満・・・・・・・・・・・・・酸性
pH3.0以上~6.0未満・・・・弱酸性
pH6.0以上~8.0未満・・・・中性
pH8.0以上~11.0未満・・・弱アルカリ性
pH11.0以上・・・・・・・・・・・・アルカリ性

写真1 清拭料及び水道水pH測定結果(左から、ブランク、清拭料、水道水)

写真1 清拭料及び水道水pH測定結果(左から、ブランク、清拭料、水道水)

また、水道水(通常pH7.0前後)のpH測定結果では、pH7.0を示したことから(写真1:左から3番目のスティック)、このpH試験紙による測定結果の確からしさが確認されました。

洗浄後のストーマは、シャワーのお湯で十分に洗い流しました。

少しの時間放置してから、ストーマに不織布ガーゼ(メディコム、15cmX15cm)を被せました(写真2)。
←Amazonで見てみる。

写真2 ストーマ粘液のサンプリング

写真2 ストーマ粘液のサンプリング

不織布ガーゼをゆっくりと引き剥がすと、無色透明な粘液が付着しました(写真3)。

写真3 大腸のピュア粘液

写真3 大腸のピュア粘液

*

[実験結果]
上記のようにして採取した夾雑物のない純粋な大腸粘液のpH測定結果は、pH8.5~9.0でした(写真4:右のスティック)。

写真4 ストーマピュア粘液pH測定結果(左:ブランク、右:粘液)

写真4 ストーマピュア粘液pH測定結果(左:ブランク、右:粘液)

*

ということで、大腸粘液の液性は、先述のpH区分の基準でいうと、弱アルカリ性ということになります。
ほかの基準にあてはめれば、アルカリ性とも言えます。
その点については、過去記事「pHと硬度は本当はどれがいい?ミネラルウォーター比較一覧表とグラフを作った。」を見てください。

また、この結果は、腸内通過速度が速い下痢便が酸性なのに対して、腸内通過速度の遅い便のpHが高くなることと関連がありそうだということがわかりました。

*

余談ですが・・・

下痢便は、海外の専門サイトや論文では、酸性と言われていて、それが常識のようです。

また、KenUも自分の下痢便や硬い便のpHを測定してデータを収集しているところですが、確かに下痢便は酸性でした。

後日、論文のソース、KenUの便の測定結果なども含めて、「ストーマ周囲皮膚炎の原因研究結果」に関する記事を書きたいと思いますので、お楽しみに。

*

[2016/05/28 追加]
今日は、ストーマ装具の交換日だったので、大腸粘液pH測定の再現性実験を行いました。

その結果、前回と同じpH8.5~pH9.0であり、再現性が認められました。

また、尿のpH測定も行ってみました。
その結果、pH6.5を示しました。

写真5 尿のpH測定結果(左:ブランク、右:中間尿)

写真5 尿のpH測定結果(左:ブランク、右:中間尿)

2016年3月版の臨床検査基準値一覧では、尿定性試験pH基準範囲(正常値)は、pH4.6~pH7.5、そして、「健常者の尿はほとんどが6.5くらいの弱酸性」(←**********医療センターより)なので、KenUの尿のpHは全く問題ないという結果になりました。

*

最後に、研究用にKenUのピュアな大腸粘液が欲しいという研究者の方はいらっしゃいますでしょうか?

************** 関連記事 **************

人工肛門ストーマ装具交換の動画をアップしてみた。

ストーマ装具を交換するときに、どんな皮膚洗浄料を使用するのが良いか?

pHと硬度は本当はどれがいい?ミネラルウォーター比較一覧表とグラフを作った。

人工肛門から出る便のpHとストーマ用品のpHはどれくらい?

Colonic mucosal pH in human

***********************************

カテゴリー:ストーマ, 医療, 未分類